高校選びのポイント解説!普通科はこんな子におすすめ
公開日:2022年度の文部科学省の資料によると、全体の高校生の約7割が普通科の学生だそうです。
保護者の方の中にも「高校時代は普通科で学んだ」という方が多いのではないでしょうか。
ただ現在は普通学科の中に、多彩なコースを設置している学校がたくさんあります。
「普通科の理数コースと理数学科はどう違うの?」など戸惑われている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、高校の普通科の進路や向いている子の特徴などをご紹介します。
普通科とは?
高校には「普通科」「専門学科」「総合学科」の3種類があります。
そのうち普通科は、小学校・中学校の義務教育で受けた基礎力を土台として、さらに幅広い教養を身に付けるための学科です。
特に1年生はほとんどが必修であり、中学校の延長といってもいいかもしれません。
2022年5月時点の文科省のデータによると、生徒数は約295万人です。
そのうち、普通科には約217万人が在籍しています。
高校生の約4分の3が普通科に在籍しているということになります。
普通科は、国公立大学や多くの私立大学受験に必要な「共通テスト」の科目をひととおり学べるので、大学進学向きの学科といえます。
共通テストは2021年度から始まった試験です。
保護者の世代には「センター試験」が新しくなったものと説明した方が、ピンと来るのではないでしょうか。
共通テストはセンター試験と比べ、思考力や判断力を求められる問題が多い試験となっています。
丸暗記ではなく、普段の勉強でしっかり考えることが、より大切になってきているのです。
普通科のコース制とは?
普通科の中には、コース制を設けている学校が多くあります。
専門学科ほどではありませんが、興味・関心がある特定の教科を多めに履修できます。
どのような内容をどれくらい学べるのかは、学校によって異なります。
コース制の高校については、入試の段階からコースを分けている学校だけでなく、2年生からコースを分けている学校もあります。
深く学びたい教科や行きたい大学の分野はあるものの、まだ少し迷っているという場合もあるでしょう。
その場合、まずは普通科に進学して、じっくり学びながら考えるのも一つの方法です。
また、普通科の中に「特進(特別進学)コース」を設けている学校もあります。
難関大学への合格を目指したい場合は、進学に特化したコースの有無や、大学への進学実績、そしてサポート体制もチェックしておきましょう。
普通科の単位制とは?
普通科の中には「単位制」を設けている学校もあります。
単位制は、学年の枠にとらわれず自分の興味関心に応じて学べるように設置された制度です。
生徒たちは自分の希望に応じ、学年の枠を超えてさまざまな科目を選択できます。
3年間で必要な単位を取れば卒業できるので、大学に近い仕組みといえます。
自分で科目を選択するので、主体性も育まれます。
異なる学年の生徒と一緒に授業を受け、交流できるのも単位制ならではといえるでしょう。
1科目あたりの生徒数が少人数になるのが、単位制のメリットです。
総合学科とも似ていますが、就職や専門学校への進学を視野に入れた多彩なコースを用意している総合学科と比べ、より大学進学を重視している学校が多めです。
どのような科目を選べるのかは、事前に学校説明会などで確認しておくとよいでしょう。
単位制の高校は人気があり、合格難易度も比較的高めです。
もし単位制の高校を目指すなら、中学生のうちからしっかりと勉強して、受験対策しておくことが大切です。
普通科改革とは?
2022年度から、新たに「高等学校普通科改革」が始まっているのはご存じでしょうか。
こちらは普通科高校の中に、「学際領域に関する学科」や「地域社会に関する学科」といった、新しい学科を創設できるようになる制度です。
高校生がこれからの時代を生きていくのに必要な、課題解決能力を身に付けることをねらいとしています。
すでに各地で「地域共創科」「地域科学科」「地域探究科」といった学科の設置が決まっています。
これからどんどん、既存の普通科の枠に収まらない、新しい学科が増えていくことが予想されます。
現在小学生・中学生のお子さんをお持ちの保護者の方は、ぜひお住まいの地域の情報をチェックしておくことをおすすめします。
主な進路は?
文部科学省が公表している「高等学校卒業者の学科別進路状況」によりますと、普通科の卒業生のうち、約70%が大学・短大に進学しています。
学科にもよりますが専門学科の卒業生で進学しているのは約25%、総合学科の卒業生は40%です。
もちろん、専門学科や総合学科でも進学に力を入れている学校は多くあります。
しかし大学や短大への進学を検討しているのであれば、まず普通科への進学をまず検討した方がよいでしょう。
ただし、すでに行きたい学部が決まっている場合は、専門学科を選んだ方が有利な場合もあります。
たとえば芸術系の大学に進学したい場合、普通科の授業だけでは受験への対応が難しく、別途専門の塾に通うなどの対策が必要です。
また大学や専門学校への入学後も、専門学科卒の学生はすでに技術を身に付けているため、スタートで差がついてしまうこともあります。
もし迷っている場合は、オープンスクールなどに参加し、普通科と専門学科のどちらが自分に合っているのか、よく検討しましょう。
また、普通科から就職するお子さんもいます。
ただし、普通科から就職する学生の数は減少しています。
2022年度は6.6%です。
もし高校卒業後に進学ではなく就職する可能性がある場合は、専門学科への進学を視野に入れた方がよいでしょう。
普通科に向いている子の特徴
中学生の段階では、「何がしたいかわからない」と考えているお子さんは、まだまだ多いと思われます。
そのようなお子さんこそ、普通科に向いています。
ときどき「勉強しても、人生の役に立たない」と言う人を見かけます。
しかし人生において、無駄な勉強はありません。
普通科で5教科や副教科の基礎をしっかりと身に付けることは、将来やりたいことを見つけたときに、必要な知識や技術を習得するための土台になってくれるはずです。
また「中学時代の友達と同じ高校に通って一緒に高校生活をエンジョイしたい」という希望がある場合も、地元の高校の普通科が向いています。
もちろん高校でも新しい出会いはたくさんあります。
ただ特に入学して間もないころは、友達が同じ高校にいることで何かと心強く安心することも多いでしょう。
お子さんの特性に合わせて「何を学ぶか」「誰と一緒に学ぶか」のどちらを重視した方がよいか検討しましょう。
まとめ
高校選びは、多くのお子さんにとって自分の人生を自分で決める最初の一歩となります。
もっとも大切なのは「日頃の勉強や、中間テスト・期末テストをおろそかにしない」ということです。
もしかしたら「推薦を狙っているわけではないし、入試の前にがんばったら一発逆転できるのではないか」と考えているお子さんもいるかもしれません。
しかし中学校の先生は、長年たくさんの生徒を見てきた経験から「どのくらいの成績の子が、どの高校に受かるか」を知っています。
せっかくオープンスクールなどに参加して「行きたい!」と思った高校なのに、「今の成績だと、あの高校に受かるのは難しい」と言われてしまうのはとても残念ですよね。
また、もし運よく受かったとしても、周りの生徒たちのレベルが高すぎて、順位が伸びず悩んでしまう可能性もあります。
逆に自分のレベルより少し易しい高校の普通科を選び、学年トップの成績で指定校推薦を受け、進学するというケースもあるのです。
受験はやり直しができないものです。
付け焼刃の勉強では、ここぞというときに力を発揮できません。
行きたいと思った高校に行けるよう、ぜひ小学生・中学生のうちから、日々の勉強を積み重ねていってください。