不登校の中学生でも高校受験はできる?出席日数の影響と進路選びのポイント
公開日:
お子さんが学校に通えない状態が続くと、保護者の方は「このままで高校に進めるのだろうか」「休んだ日数が多いと受験自体ができないのでは」と心配になるものです。
特に中学3年生になると、進路希望調査の用紙を渡されたり、周りの友人たちが受験に向けて動き出したりする様子を見て、焦りが募ることも少なくありません。
結論から言えば、欠席日数が多いことを理由に高校受験ができなくなるということはありません。
今は全日制の高校に限らず、定時制高校、通信制高校など、進学先の選択肢は多様化しています。
加えて、入試における欠席日数の扱いは、都道府県や学校、選抜方式ごとに違いがあります。
大事なのは「不登校だから進学は無理」と早々に結論づけることではなく、今の状況を丁寧に整理したうえで、お子さんに合う高校や受験のやり方を早めに探していくことです。
本記事では、不登校を経験している中学生が高校受験に臨む際に知っておきたい、出席日数や内申点との関係、高校の種類、そして進路選びで意識したい視点について紹介します。
不登校でも高校受験の道は開かれている

まず押さえておきたいのは、学校を長く休んでいても高校受験そのものは可能だという点です。
欠席が続いていても、中学校を卒業すること自体は原則としてできます。そして卒業見込みがあれば、ほとんどの高校の入試に出願する資格が得られます。
文部科学省も、不登校を経験した生徒が在籍中学での出席状況だけを理由に入試で不利益を被ることのないよう、各教育委員会に配慮を呼びかけています。
欠席日数のみを基準に出願を拒んだり不合格にしたりするのではなく、学力検査や面接、本人の進学への意欲なども含めて総合的に判断することが求められているのです。
とはいえ、どの高校も出席日数を全く問わないというわけではありません。
学校や選抜方式によっては、調査書に書かれた内申点や在校中の様子が合否に関わってくることもあります。
志望校が固まったら、募集要項に目を通し、出席日数や内申点がどのように扱われているのかを事前に確認しておくことが欠かせません。
欠席日数の多さは合否にどう関わるのか

高校入試では、中学校側が作成する調査書が提出されるのが一般的です。
調査書には各教科の評定や学校での活動記録などが盛り込まれますが、出欠状況をそこに記載するかどうかは自治体によって対応が分かれます。
「年間30日以上休むと受験で不利になる」という話を耳にすることもありますが、この30日という数字だけで機械的に合否が決まるわけではありません。
不登校の定義上、年間30日以上の欠席が一つの目安とされているだけであり、それと高校の合否基準は別物と考えた方が適切です。
欠席が多い場合でも、欠席に至った背景や現在の様子、進学への前向きな姿勢などを踏まえて判断してもらえるケースがあります。
まずはお住まいの都道府県教育委員会が発表している入試制度や、志望校の募集要項を確認し、担任の先生や進路指導担当にも相談してみましょう。
出席日数より内申点がネックになることも
不登校の状態で高校受験を考える際は、欠席日数だけでなく内申点についてもチェックしておく必要があります。
内申点は、中学校の通知表に記載された各教科の評定を基に算出されるものです。
公立高校入試では、学力検査の得点と内申点を組み合わせて合否を決めるのが一般的な仕組みになっています。
不登校になると授業に参加する機会が減り、定期テストを受けられなかったり課題を提出できなかったりすることがあります。
その結果、先生が評価に必要な材料を十分に得られず、評定をつけるのが難しくなる場合があります。
ただし、毎日学校に通えていないからといって、必ずしも内申点がつかないわけではありません。
別室登校や保健室登校を利用したり、定期テストだけは受けたり、レポートや課題を提出したりと、本人が無理なくできる方法で評価材料を増やせる可能性はあります。
オンライン学習や教育支援センター、条件を満たす民間施設での活動が、校長の判断で出席扱いになることもあります。
どのような取り組みが評価対象になるかは学校ごとに異なるため、担任や学年主任と話し合い、本人が続けられる方法を見つけておくとよいでしょう。
自己申告書という選択肢
自治体によっては、不登校や長期欠席に至った事情を高校側に伝えるための「自己申告書」や「理由書」といった書類を提出できる制度が用意されています。
自己申告書には、欠席が増えた経緯やこれまで取り組んできたこと、現在の心身の状態や生活の様子、高校で挑戦したいことなどを書き記します。
欠席日数という数字だけでは伝わらない、本人の経験や前向きな姿勢を高校側に説明する手段になります。
ただし、名称や提出方法、記載内容は地域によって異なり、すべての高校が導入しているわけではありません。
中学校や教育委員会に早めに確認しておきましょう。
書く際には、不登校だった経験を無理に美化する必要はありません。
欠席の理由を細かく説明することよりも、「今できていること」や「高校でやってみたいこと」を具体的に書くことの方が大切です。
不登校経験者が検討したい高校の種類
高校には全日制、定時制、通信制など複数の学び方があります。
不登校の経験があるなら、偏差値や知名度だけでなく、通学頻度や授業の進度、学校の支援体制が本人に合うかどうかを見極めることが重要です。
全日制高校
平日の日中に登校し、通常は3年間で卒業を目指す形態です。
中学時代と近い生活リズムになるため、毎日の通学に不安がある場合は、入学後の生活を具体的にイメージしておく必要があります。
一方で、中学では不登校だった生徒が、環境が変わったことをきっかけに高校では通えるようになる例も珍しくありません。
人間関係や校風が変わることで、気持ちを切り替えられる場合もあります。
学校説明会や文化祭、個別相談などに足を運び、本人が実際の雰囲気を確かめておくと安心です。
定時制高校
午前部、午後部、夜間部などに分かれて授業を行う高校です。
1日の授業時間が短めで、自分の体調や生活リズムに合わせやすい学校もあります。
最近は夜間部だけでなく昼間部を設ける学校も増えており、少人数制の授業や不登校経験者への支援に力を入れる学校もあります。
長時間学校で過ごすことに不安がある場合の選択肢の一つになります。
通信制高校
レポート提出やスクーリング、試験などを通じて単位を取得していく形態です。
登校日数が少ない学校もあり、自宅学習を中心に進められる点が特徴です。
週数日通うコース、オンライン中心のコース、毎日通学するコースなど、学校によって学び方には大きな幅があります。
自由度が高い反面、自分で学習計画を立てて進める力が求められるため、サポート体制や質問のしやすさ、進路指導の内容まで確認しておきたいところです。
不登校経験者への支援が手厚い高校
自治体や学校によっては、不登校を経験した生徒や中学時代に力を発揮しきれなかった生徒を対象とする高校・入試枠が設けられています。
学力検査だけでなく面接や作文、本人の意欲を重視するところもあり、少人数授業やカウンセリング、習熟度別授業を取り入れて生徒が学校生活に慣れるまで丁寧にサポートする高校もあります。
制度の詳細は地域によって異なるため、教育委員会のホームページや中学校の進路資料で確認してみましょう。
「受かるかどうか」だけで高校を選ばない
不登校の中学生の進路を考えるとき、保護者は「とにかく入れる高校を見つけなければ」と焦りがちです。
合格の可能性を考えることはもちろん大切ですが、それと同じくらい重要なのが、入学後に本人が無理なく通い続けられるかどうかという視点です。
合格することだけを目標にしてしまうと、入学後に通学時間や授業のペース、人間関係が合わず、再び通うのが難しくなる可能性もあります。
高校を選ぶ際は、通学日数、授業時間、クラスの人数、校則、課題の量、先生への相談のしやすさなどを具体的に確認しましょう。
欠席したときのフォロー体制や、保健室・相談室・スクールカウンセラーの利用についても聞いておくと安心です。
大学進学を視野に入れている場合は、指定校推薦の実績や一般選抜への対応状況、進路指導の内容もあわせて確認しておきましょう。
学校説明会や個別相談を活用する
ホームページやパンフレットだけでは、実際の学校の雰囲気まではつかみきれません。
可能であれば学校説明会やオープンスクール、個別相談に参加してみましょう。
本人が大人数の集まる説明会に参加するのが難しい場合、最初は保護者だけで参加しても構いません。
個別相談ができる学校であれば、不登校の状況や出席日数、内申点について具体的に相談できます。相談時は「不登校です」とだけ伝えるのではなく、現在の生活リズムや学習状況、無理なく通えそうな日数などを伝えると、より的確な回答をもらいやすくなります。
不登校の経験を否定せず、入学後の支援について具体的に説明してくれる学校であれば、本人も保護者も安心して進学を検討しやすくなるはずです。
受験勉強は「今の学力」から始める
不登校の期間が長くなるほど、授業を受けていない範囲が広がり、どこから手をつければよいのか分からなくなりがちです。
だからといって、いきなり中学3年生レベルの受験問題に挑む必要はありません。
まずは現在の理解度を確認し、つまずいているところまで学年をさかのぼって学習することが近道になります。
数学の方程式でつまずいているなら正負の数や文字式まで、英語の長文が読めないなら単語だけでなくbe動詞や一般動詞などの基本文法まで戻ってみるとよいでしょう。
学年にこだわらず理解できるところから積み上げていくことが、結果として受験勉強の最短ルートになります。
最初から長時間の勉強を目指すと負担が大きく続きにくいため、1日10分、1問だけでも構いません。
取り組み始めたこと自体を評価しながら、少しずつ時間や量を増やしていきましょう。
保護者の焦りを本人にぶつけない
高校受験が近づくにつれ、保護者が不安を感じるのは自然なことです。
しかし、その不安をそのまま本人にぶつけてしまうと、子どもは「自分のせいで親を困らせている」と感じてしまいかねません。
「高校に行かないと将来困る」「いつになったら勉強するの」といった言葉を繰り返されることで、進路について考えること自体を避けるようになってしまう場合もあります。
まずは本人が高校進学についてどう感じているのかを聞いてみましょう。
「毎日通うのが不安」「勉強についていけるか心配」「行きたい気持ちはあるけれど受験を考えると苦しい」など、それぞれの不安があるはずです。
すぐに解決策を提示するのではなく、まずは気持ちを受け止めること。
そのうえで「毎日通わなくていい高校もあるよ」「一緒に見学に行ってみようか」と、選択肢を少しずつ提示していきましょう。
中学1年生・2年生のうちからできる準備
まだ中学1年生や2年生であれば、受験までには時間があります。学校復帰を急ぐ必要はありません。
まずは生活リズムを整える、自宅で好きな教科に取り組む、オンライン学習を利用するなど、今できることから始めましょう。
余裕が出てきたら、教育支援センターやフリースクール、別室登校など、家庭以外で過ごせる場所を検討する方法もあります。
中学校との連絡を完全に絶やさないことも大切です。
担任と定期的にやり取りし、テストや課題、進路情報を受け取れる状態を保っておくと、受験学年になったときに動きやすくなります。
中3で進路が決まっていなくても焦らなくていい
中学3年生になっても進路が定まっていないと、本人も保護者も焦りを感じるものです。
しかし周囲と同じ時期に志望校を決められなくても、すぐに進学をあきらめる必要はありません。
通信制高校の中には、比較的遅い時期まで出願を受け付けていたり、複数回の入試を実施していたりする学校があります。二次募集を行う公立高校もあります。
選択肢を広く持つためには早めの情報収集が有効です。
すぐに進路を決める必要はなくても、どんな高校があるのかだけは調べておきましょう。
学校の先生に相談しづらい場合は、教育委員会の相談窓口、地域の教育支援センター、スクールカウンセラー、塾や家庭教師など、学校の外にも頼れる相手はいます。
まとめ
欠席日数が多い不登校の中学生でも、高校受験の道は閉ざされていません。
出席日数や内申点の扱いは、都道府県や高校、入試方式によって違いがあります。
欠席日数だけで合否が決まるわけではなく、学力検査、面接、作文、自己申告書、本人の意欲などを総合的に見て判断する高校も存在します。
全日制だけでなく、定時制、通信制、不登校経験者への支援に力を入れた高校など、進路の選択肢は一つではありません。
大切なのは周囲と同じ進路をなぞることではなく、本人が安心して学び続けられる環境を見つけることです。
高校受験をゴールとして捉えるのではなく、入学後の生活や卒業後の進路まで見据えながら、本人の体調や気持ちに寄り添った学校選びを進めていきましょう。
学習の遅れが気になる場合も、一度にすべてを取り戻そうとする必要はありません。
今の理解度から少しずつ積み重ねていくことで、受験に必要な力は着実に身についていきます。