フリースクールとは何か?不登校児にとってのメリット、デメリットを紹介
公開日:多くの親御さんがお子さまの不登校の問題に直面した際に、フリースクールの選択を検討することでしょう。
しかし、フリースクールの具体的なメリットやデメリットについての詳細な情報は、一般的には不足しています。
この記事では、フリースクールの主な特徴と考慮すべき点を詳しく掘り下げ、お子さまにとって最適なフリースクール選びのためのアドバイスを提供します。
目次
フリースクールとは何か?
フリースクールについて名前は聞いたことがあるけれど、その実態については詳しくわからないという人も少なくありません。
フリースクールは、不登校の生徒や発達障害のある子どもたちが学んだり、仲間と交流したりするための安全な「居場所」を提供しています。
これらの施設は、個々のニーズに応じてさまざまな形態があり、主に民間企業、NPO法人などが運営しています。
フリースクールは、国や地方自治体によって運営されているわけではなく、それぞれの施設が独自の方法で運営されています。
そのため、学校と名前がついてはいるものの、従来の学校とは異なり、入学試験や固定されたカリキュラムがないことが一般的です。
フリースクールのメリットとは?
フリースクールが不登校の生徒にとってどのようなメリットを持っているかを具体的な例を挙げて説明します。
カウンセリング
フリースクールの多くは、生徒がカウンセリングや相談を受けるためのサポート体制を充実させています。
公立学校ではスクールカウンセラーが月に2〜4回訪れるのが一般的ですが、これでは継続的なサポートを受けることが困難です。
特に不登校の生徒の場合、学校に通わないためカウンセラーと接触する機会が限られてしまうこともあります。
一方、フリースクールには常にカウンセラーが常駐している施設もあり、生徒だけでなくその家族も気軽に相談できる環境が整っていることが大きなメリットです。
登校の必要がないフレキシブルな教育形態
小学生や中学生は義務教育の対象であり、通常は地域の学校に籍を置きますが、フリースクールを利用する場合、学校に出席せずともフリースクールでの活動が学校出席として扱われることがあります。
これは、在籍する学校の校長の承認により、フリースクールでの学びが正規の出席として認められるため、生徒は学校に行かなくても教育を継続できます。
特に、高校進学時に出席日数が問題となることがありますが、この制度は不登校の生徒が必要な出席日数を確保するのに役立ちます。
安心できる「第二の家」
フリースクールに通い始めて友達を作り、活動に積極的に参加するようになると、子どもたちはフリースクールを「自分の居場所」として受け入れることが多くなります。
不登校の子どもたちがフリースクールを利用する大きな理由は、従来の学校環境で自分の居場所を見つけることができなかったからです。
フリースクールが「第二の家」となることで、自分らしくいられる場所として認識し、心を開くことができます。
このように安心できる環境で自分を取り戻し、自信を築くことができれば、学校への復帰や将来の進路選択にも前向きに取り組むことができるようになります。
個別に調整可能な出席スケジュール
不登校の子どもたちにとって、突然毎日フリースクールに通うことは大きなストレスになる可能性があります。
フリースクールの利点の一つは、固定された出席日数や厳格なカリキュラムが存在しないため、子どもたちが自分のペースで通うことができる点です。
フリースクールを利用することで、子どもたちは自分に合ったペースで学ぶことができ、これが心理的な安心感につながることも多いです。
この柔軟性は、特に朝起きるのが困難で学校に通えなくなった子どもたちにとって、少しずつ社会への適応を進める上で非常に価値があります。
個別対応の学習プラン
フリースクールでは、各生徒の学習速度や能力に応じて教育が行われます。
こうした環境では、教育者が生徒一人一人に対して個別の支援を行い、他の生徒と比べてプレッシャーを感じることなく、学習に専念することが可能です。
不登校の期間が長かった生徒は特に、学習の遅れを気にするものですが、フリースクールでは自分のペースで学び直すことができます。
これは、一人で家で学ぶ場合には難しいことが多いです。
フリースクールのデメリット
フリースクールには多くの利点がありますが、それに伴ういくつかのデメリットも理解しておくことが重要です。
これらの課題を把握することは、フリースクールを選択する際の判断材料となります。
以下で、フリースクールのデメリットを解説します。
フリースクールの費用
フリースクールは多くの場合、私立や民間企業によって運営されているため、利用するには料金が必要です。公立の学校とは異なり、費用の負担が伴います。
施設によって料金体系は異なりますが、平均的な月額料金は約33,000円とされています。
加えて、入会金やその他の費用がかかる場合もあります。
特に高校生になると、就学支援制度の適用外となることが多く、教育費の全額を家庭が負担する必要があります。
これにより、フリースクールの利用は家庭の経済状況によって大きく左右されることがあります。
フリースクールの出席扱い条件
前述したように、フリースクールが学校の出席として扱われることがありますが、これは自動的なものではありません。
出席扱いには条件があります。
- フリースクールのプログラムが文部科学省の基準に合致していること。
- 在籍する学校の校長の許可が必要です。
これらの条件を満たすことが重要で、特に将来の進学を考えている場合は、これがクリティカルになります。
フリースクールを利用する前には、これらの点を確認することが大切です。
学習内容
フリースクールでは、その目指す方向性や教育内容が施設によって異なります。
一部のフリースクールは学問の進度を重視する一方で、他の施設は生徒の自主性や創造性の育成に焦点を置いています。
国の学習指導要領に従ったカリキュラムが設けられていないため、フリースクールごとに教育の内容やレベルが異なります。
これにより、通常の学校で学ぶはずの教材がカバーされない場合もあり、学習の進度やレベルに差が出ることがあります。
社会性を身につけるのが困難
フリースクールでは、生徒の自主性を尊重し、自己決定を重んじる教育方針が一般的です。
生徒は学ぶペースや内容を自ら選択し、この選択が基本的には否定されることはありません。
この自由度の高さは、生徒にとって肯定的な環境を提供しますが、一方で、社会に出たときの適応に必要な社会性のスキルを学ぶ機会が少なくなる可能性があります。
我慢や協調性など、社会生活で求められる要素が十分に培われないこともあるため、これが将来的に課題となることが考えられます。
高校卒業と認定されない
フリースクールを利用している高校年齢の生徒が正式な高校卒業資格を取得できるかは重要な問題です。
フリースクールは教育機関として機能していますが、公式の学校としては認められていないため、通常の高校卒業資格を直接提供することはできません。
その結果、フリースクールだけに通っていても高校卒業と認定されることはありません。
高校卒業に相当する資格を得るためには、通信制高校への登録や高卒認定試験の受験など、他の方法を併用する必要があります。
これらの選択肢は通常、フリースクールの学習と並行して進められます。
フリースクールの数の少なさ
フリースクールの全国的な数はまだ多くないのが現状です。
特に地方では、不登校の生徒がフリースクールを利用したい場合でも、近くに施設がないことがよくあります。
まとめ
フリースクールは、不登校や学校に馴染めない生徒たちにとって貴重な選択肢となり得ますが、その利用にはメリットとデメリットが伴います。
カウンセリング支援が充実しており、柔軟な出席スケジュールや個別対応の学習プランを通じて、生徒たちが安心して学べる環境を提供します。
一方で、料金が発生し、公式の高校卒業資格が得られないこと、教育内容の不均一さ、社会性を学ぶ機会の限定、利用可能なフリースクールの数の少なさなどが課題となります。
これらの点を踏まえた上で、フリースクールの選択を検討することが、子どもたちの将来にとって重要な選択となります。