コラム

帰国後の日本語力不足に悩む帰国子女のための解決策

帰国後の日本語力不足に悩む帰国子女のための解決策 公開日:

帰国子女が直面する日本語力の問題は、海外での言語環境に大きく依存します。
帰国後、日本語力が十分でないことで学習面で遅れが生じたり、日本の学校生活に適応しにくかったりすることは、大きな社会問題となっています。

今回は、海外滞在中にできる対策や日本語力を維持・向上させるためのコツについて詳しくご紹介します。
日常生活の中で工夫することが鍵となるので、ぜひ参考にしてください。

海外在住・帰国子女の日本語力維持と向上の重要性

海外在住・帰国子女の日本語力維持と向上の重要性

海外で生活する子どもたちは、日本語力の維持と向上に多くの課題を抱えています。
これらの課題には、読み書き能力、会話中の文法、そしてネイティブの日本語の理解と使用が含まれます。
これらの問題を克服するためには、日常生活での工夫や継続的な学習が不可欠です。
本記事では、それぞれの課題に対する具体的な対策を詳しくご紹介します。

読み書きの課題

  • 日本語の読み書きの機会の少なさ

海外在住の子どもたちは、家庭内で日本語を話すことが多いですが、日本語の読み書きを行う機会が限られています。
このため、特に漢字の学習が遅れがちです。漢字は日本語学習の中で最も難易度が高く、これが原因で日本の学校の授業についていけない場合が多々あります。
また、学年を遅らせて編入することで、子どもがコンプレックスを抱くこともあります。
このような心理的な負担を軽減するためにも、日常的に日本語の読み書きを行う習慣を身につけることが重要です。

<対策方法>

1.家庭内での日本語の使用

親が積極的に日本語で話しかけることで、子どもも自然と日本語を使う機会が増えます。
また、日本の絵本や漫画を一緒に読む時間を作ることも効果的です。

2.オンライン教材の活用

インターネットを利用して、日本語のオンライン教材を活用することも一つの方法です。
特に、漢字の学習に特化したアプリやウェブサイトを利用することで、効率的に学習を進めることができます。

3.日本語教室への参加

現地で日本語教室が開かれている場合、定期的に参加することで読み書きのスキルを維持・向上させることができます。
また、同じような境遇の子どもたちと交流することで、学習意欲も高まります。

    会話中の文法の問題

    ・英語との混用による影響

    1988年に行われた東京学芸大学特殊教育研究施設の調査では、海外滞在が長くなるほど日本語を使う頻度が減り、英語が主な言語になる傾向があることが示されています。
    特に幼少期から外国に住む子どもは、日本語の語彙理解力が発達しにくく、日本語と英語の語順が混在することが多いです。
    これは、日本語を英語の影響を受けた形で話すことが原因です。

    <対策方法>

    1.日本語の文法を意識する

    子どもが日本語を話す際、正しい文法を意識させることが重要です。
    親が子どもの話し方を適宜修正することで、自然と正しい日本語が身につきます。

    2.日本語の会話練習

    家庭内での日本語の会話を増やすことで、子どもが正しい文法を使えるようになります。
    また、親が積極的に日本の文化やニュースについて話すことで、語彙力も向上します。

    3.言語交換パートナーを見つける

    現地で日本語を学びたい外国人との言語交換を行うことで、子どもが日本語を実践的に使う機会が増えます。
    これにより、正しい文法を自然と身につけることができます。

    ネイティブの日本語の理解と使用

    ・敬語の習得の難しさ

    帰国子女は日常会話においては問題なく日本語を話すことができるため、「日本語ができない」とは認識されにくいです。
    しかし、敬語などの高度な日本語表現の習得が難しく、その結果、社会的な評価が低くなることがあります。
    また、国内の学校ではネイティブレベルの日本語力を持たない子どもを受け入れる体制が整っていないことが多く、入学が難しい場合もあります。

    <対策方法>

    1.敬語の練習

    敬語の習得には、実際に使う機会を増やすことが大切です。
    家庭内で敬語を使った会話の練習を行うことで、子どもが自然と敬語を身につけることができます。

    2.日本の文化に触れる

    日本のテレビ番組や映画、ドラマを観ることで、自然な日本語表現や敬語の使い方を学ぶことができます。
    また、日本の行事や伝統に参加することで、実際に敬語を使う機会が増えます。

    3.日本語検定試験への挑戦

    日本語能力試験(JLPT)や実用日本語検定(J.TEST)などの試験に挑戦することで、子どもが日本語の学習に対して目標を持つことができます。
    試験を通じて、自分の日本語力を客観的に把握し、さらなる向上を目指すことができます。

    保護者の役割

    保護者は、子どもの日本語力を維持・向上させるために非常に重要な役割を果たします。
    以下に、保護者が実践できる具体的なサポート方法を紹介します。

    日常生活での日本語の使用

    ・家庭内での日本語会話の奨励

    家庭内での日常会話を日本語で行うことは、子どもの日本語力を維持するために非常に重要です。
    食事の時間や家族の時間を日本語で過ごすことで、自然と日本語を使う機会が増えます。
    例えば、家族でニュースを見ながら話し合う、子どもの学校の出来事を日本語で聞くなど、積極的に日本語を使う場を作ることが大切です。

    ・日本語の読書習慣の推奨

    日本語の本や漫画、雑誌を家に揃え、子どもが興味を持ったときにいつでも手に取れるようにします。
    保護者自身も日本語の本を読み、読書の楽しさを共有することで、子どもに日本語の読書習慣を促すことができます。

    日本語学習の具体的なサポート

    ・学習時間の確保と習慣化

    週に数回、決まった時間に日本語の学習時間を設けることが重要です。
    例えば、毎週月曜と木曜の夕方は日本語の勉強時間にするといった具体的なスケジュールを設定します。
    この時間には、漢字ドリルや作文の練習、日本語のオンライン教材を使用して学習します。

    ・個別指導の活用

    オンライン家庭教師や個別指導を利用することで、子どもが自分のペースで日本語を学習できる環境を整えます。
    特に難しい漢字や文法の理解が必要な場合には、専門の教師からのサポートが有効です。

    日本文化への触れ合い

    ・日本の伝統行事の体験

    海外に住んでいても、日本の伝統行事や文化を家庭内で再現することができます。
    例えば、お正月には餅つきや書初めを行う、節分には豆まきをするなど、日本の行事を体験させることで、子どもが日本の文化に親しみを感じることができます。

    ・地域の日本人コミュニティとの交流

    現地に日本人コミュニティがある場合、積極的にイベントや活動に参加することで、子どもが日本語を使う機会を増やします。
    同じような境遇の子どもたちと交流することで、互いに学び合い、励まし合うことができます。

    学習環境の整備

    ・学習に集中できるスペースの提供

    静かで集中できる学習スペースを提供します。
    子どもが自分専用の勉強机や学習コーナーを持つことで、学習への意欲が高まり、効率的に勉強が進められます。
    必要な教材や文具を揃えることも重要です。

    ・親子での学習活動

    親子で一緒に日本語を学ぶ時間を作ることも効果的です。
    例えば、一緒に漢字の書き取りをしたり、クイズ形式で日本語の単語を学んだりすることで、楽しく学習を進めることができます。
    親が積極的に学習に関わることで、子どもも日本語学習に対して前向きな姿勢を持つようになります。

    モチベーションの維持と向上

    ・目標設定と達成のサポート

    子どもが日本語学習の目標を設定し、その達成に向けて取り組むことをサポートします。
    例えば、一定期間内に特定の漢字を覚える、簡単な日本語の本を読むといった具体的な目標を立てることが大切です。
    目標を達成した際には、小さなご褒美を用意するなど、モチベーションを維持するための工夫も必要です。

    ・成功体験の提供

    子どもが日本語で成功体験を積むことができるような機会を提供します。
    例えば、日本語でスピーチをする場を設ける、作文コンクールに参加するなど、実際に日本語を使って成果を上げることで、自信を持つことができます。

    まとめ

    帰国子女の日本語力維持と向上は、海外滞在中からの継続的な取り組みが鍵となります。

    家庭内での日本語使用の奨励、学習時間の確保、文化的な体験を通じて、子どもたちが自然に日本語を身につける環境を整えることが重要です。
    保護者のサポートがあれば、子どもたちは帰国後も日本の学校や社会にスムーズに適応し、将来の成功への道を切り開くことができます。
    日常生活の中でできる工夫を取り入れながら、子どもたちの日本語力をしっかりとサポートしていきましょう。

    オンライン家庭教師ドリーム
    教務代表 山田 祐大

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    オンライン家庭教師ドリーム教務代表
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